答え合わせ

?僕に何か用かな? わざわざ僕のところに来るなんて、もしや彼女は答え合わせしてくれなかったのかい?まあ、あの子はあの子なりに頑張ってるんだから、そう責めないであげなよ。

 あ、そもそも自己紹介していないのかな。どうも、僕は篁 瑠璃の先輩だった谷津 翔です。もとはと言えばオイラー部の部長だった人だから、少しぐらいうわさは聞いているんじゃないかな。

 なんで、棒がこうやってあなたと話せているのかって?あぁ、それは数理論学における虚軸空間の存在が否定できないから、なんて小難しい言葉を並べてもわからないよね。まあ、それはいつかちゃんと話してあげるよ。

 それより、答え合わせに来たんだろう?正弦定理と余弦定理、並びに正弦と余弦の加法定理だね。どれも、簡単な内容ではないけれど、ある程度の知識さえあれば解けるさ。実際に解いてみようか。方法としては、なるべく図形的に、目でわかるようにね。

 まずは、一つ三角形を書いて、それの外接円を描こう。  さらに、一本補助線を引く。  さて、ここで円周角が出てきたね。$∠A=∠BDC$が円周角の定理から証明できる。つまり、$sinA$を求めることは、$sin∠BDC$を求めることと言い換えても問題ないんだ。まあ、話の流れからわかる通り、$sin∠BDC$を求めに行くんだけど。

 さて、当たり前の条件だけど、BD=2Rだよね。ということは、$sin∠BDC = a/2R$ということになるね。そして、$sinA=sin∠BDC$より、$sinA = a/2R$が証明できる。さらに式を簡単にすると$a/sin(A)=$になる。これを他の角にも適用すれば$$a/sin(A)=b/sin(B)=c/sin(C)=4R$$は自明だ。

 さて、一仕事終了ってところかな。まあ、このまま先に進むけど。

 次は余弦定理だけど、余弦定理についてはかなり簡単だからあんまり気張らなくていいよ。余弦定理の図はこんな感じかな。三角形に、一点から対辺に垂線が描かれた図だね。  さて、この図の右側の三角形に注目して話を進めていくよ。まずは、。垂直ということから、三平方の定理が使える。 $$CB^2 = BG^2 + CG^2$$ 次に、今出てきた線分の長さを、三角比を用いて表現しよう。 $$CB=a$$ $$CG=b-ccosA$$ $$BG=csinA$$  じゃあ、これをもとの式に代入していこう。 $$a^2 = (csinA)^2+(b-ccosA)^2$$ $$a^2 = c^2\times sin^2A + b^2 -2cbcosA + c^2\times cos^2A$$  ここで、$sin^2+cos^2=1$を使う。この式は、三角関数の図が円になることから、作られている式だね。 $$a^2 = c^2 + b^2 -2bccosA$$

 さあ、これで余弦定理も証明完了だ。余弦、つまり$cos$という関数は、$0< \theta < 180$までは、一つしか値を取らないから、便利な関数だね。何度も使って慣らしておくことをお勧めするよ。

 残るところは加法定理の二つだね。これは結構ややこしいから、証明を覚える必要はないかな。さっきの二つは、忘れてもいいように証明も知っておくといいけど、これは証明するには時間がかかるから、そのまま覚えちゃう方がおすすめ。まあ、そんな脅かすように言った証明方法は、余弦定理を使った方法を話そうか。

 三角関数だから、こんな感じの単位円と、適当な点を打っておこうか。

 三角形ABCを用いて、余弦定理を使おう。 $$BC^2 = AB^2 + AC^2 -2AB\times AC\times cos(\beta - \alpha)$$ $$BC^2 = 2-2cos(\beta - \alpha)$$

 つぎに、これを座標とみなして、距離を三平方の定理から求めよう。 $$BC^2 = (cos\alpha - cos\beta)^2 + (sin\alpha - sin\beta)^2$$ $$BC^2 = cos^2(\alpha)+cos^2(\beta)-2cos(\alpha)cos(\beta)+sin^2(\alpha)+sin^2(beta)-2sin(\alpha)sin(\beta)$$ $$BC^2 = (cos^2(\beta) + sin^2(\beta))+(cos^2(\alpha)+sin^2(\alpha))-2cos(\alpha)cos(\beta)-2sin(\alpha)sin(\beta)$$ $$BC^2 = 2-2(cos(\alpha)cos(\beta)+sin(\alpha)sin(\beta))$$

 それじゃあ、さっきの式と比較してみよう。 $$2-2cos(\beta-alpha)=2-2(cos(\alpha)cos(\beta)+sin(\alpha)sin(\beta))$$ $$cos(\beta-alpha)=cos(\alpha)cos(\beta)+sin(\alpha)sin(\beta)$$

 ということで、加法定理の一つが導けたね。え、加法じゃないって?まあ、それぐらい式変形すれば治るからさ。 $$cos(\alpha + \beta)=cos(\alpha -(-\beta))=cos(\alpha)cos(-\beta)+sin(\alpha)sin(-\beta)$$ $$cos(alpha + \beta)=cos(\alpha)cos(\beta)-sin(\alpha)sin(\beta)$$  これで、余弦の加法定理ができたでしょ。あとは正弦の加法定理に直しておしまいだね。 $$sin(\alpha + \beta)=cos(90-\alpha - \beta))$$ $$cos((90-\alpha) - \beta)=cos(90-\alpha)cos(\beta)+sin(90-\alpha)sin(\beta)$$ $$cos((90-\alpha)-\beta)=sin(\alpha)cos(\beta)+cos(\alpha)sin(\beta)$$

てな感じにすれば、加法定理も証明完了だね。

 さて、棒の覚え方の話だったっけ。まあ、いずれいろいろ勉強したらわかると思うんだけど、今は回転行列の積とだけ答えておくよ。ここから先に進みたければ、自分の力で進むんだ。そう遠くないところに答えは置いてきたから、後は進む勇気だけさ。

 それじゃあ、僕はそろそろお暇させてもらうよ。

updatedupdated2024-03-212024-03-21