「ちょっと、黒瀬さん!」 急にちゃぶ台の上に突っ伏した黒瀬さんにいくら声をかけても返事がない。最初は悪ふざけかと思ったけど、聞こえてくる呼吸は荒かった。あとで怒られるかもと思いながら黒瀬さんの手に触れると、幼い子供の手のような温かさを感じた。まさかと思って左手は私の、右手は黒瀬さんの額に触れると、右手だけ熱くしっとりと湿っていた。 こんな状態で勉強を教えてくれていたことへの申し訳なさと、病人を放っておけないという気持ちが黒瀬さんの体をベッドまで「それで、さやは広岡さんのことどう思ったの?」 いつものように昼休みに私の教室に来て、お弁当のブロッコリーを方ばっているさやに聞いた。もとはといえばこの前の広岡さんに教えるときにさやが参加したのは、広岡さんがどんな人なのか知りたいといったからだった。 「まあ、悪い人って感じじゃないんだけどね。私はちょっと苦手かな。」 さやがらしくもなく少し渋い表情を作って見せた。どんなところが苦手か聞いても、よくわからないという答えだった。 「思ったより根はまじめ「なんとか野恵たちと遊べそうだよ。」 私が昨日、両親と相談した話を告げると、野恵は私の腕を小突いた。 「言われなくても遊ぶっての。そういえば、例の黒瀬さんはどうなの?」 野恵の顔にどことなく引っかかる笑顔が浮かぶ。つられて恵美も笑い、私もそれに合わせて笑顔になる。 「なんというか、見た目通りって感じだったよ。薄幸な感じ。」 クラスの隅にいる黒瀬さんの顔を見ながら、一昨日のことを思い出す。完全に私たちのお遊び感覚で始まった家庭教師と生徒の関係は、あの日暑いとうるさい男子たちが開けた窓から秋風が頬を撫でた。夏が終わって、水道水がぬるくなくなり、風が涼しさを覚え、宵闇が首元を不安にさせる季節が音もなく訪れた。 高校二年生の秋、文化祭と修学旅行も終わり、ついこの間までは中間試験でそわそわしていたクラスメイトが、テスト返却の結果で炭酸飲料を開けた瞬間のように騒がしい。赤点を回避したとか、平均点に届いたとか、そんなにはしゃぐようなことでもないと思う。それだけのエネルギーがあるなら、もっと他に使えばいここでは本作に登場したキャラについて語り切れなかった内容を紹介します。一部キャラ(晴翔,美雪,桃花)にはキャラのイメージ画像がありますが、AIで作ったものなので完全にはイメージ通りにはなっていないのでご容赦ください。 書けなかったキャラの名前や裏設定が結構あるので、本作が好きになった方は是非読んでみてください。