先にも書いたように、心の不調には様々な種類がありそれぞれで様々な特性がある。一応共通項目としては、神を蔵すので精神的な症状が出ることが多いものの、その症状自体もバラバラなので注意が必要だ。
まず覚えるべき心の病態としては心血虚と心気虚の2つがあり、これらは悪化するとそれぞれ心陰虚と心陽虚になる。
心血虚
心を養う血が不足した状態
顔が青白い 動機 息切れ 不眠 健忘 夜間興奮状態
脾の不調が原因で血の生成が滞っていることが原因
心血を補う治療法や、心血のもとになる精を養う治療が行われる
心火の炎上が起こると心神が亢進して興奮状態になる
心陰虚
心の陰液不足で十分に養えていない状態
精神不安 動機 息切れ いらいら 手足のほてり 口渇
心血虚が更に進んだ状態
腎に及ぶと耳鳴りや腰痛、めまいなどになる
心気虚
心に十分な気が提供されない状態
動機や息切れ、顔面蒼白など
加齢による老化が主な原因
心陽虚
気虚により心火が不足して温煦作用が十分でない状態
心気虚の症状に加えて冷え性が現れる
精神的な疲労が主な原因
これ以外にも、心火亢盛、痰火擾心、心血瘀阻、痰迷心竅なども心の不調としてよくある症状である。
心火亢盛
心火が上炎し、心神を見出している状態
心胸部の苦悶感、不眠、口渇、顔面紅潮、舌炎など
心血虚による陰不足などが原因
痰火擾心
痰火が心神を見出した状態
心煩 不眠 多夢 精神異常 黄疸
心血瘀阻
心の血液運搬作用が低下した状態
動機 胸痛 刺痛
気虚や帰結循環の低迷
痰迷心竅
痰濁が心竅を塞ぎ心神に影響を及ぼした状態
精神抑うつ 意識障害 痴呆 卒中
心の不調には肝に比べても多くの種類があり覚えるのは用意ではないと思う。全てをはじめから暗記しようとするのではなく、心は精神症状が多いんだという感じに理解しておいて、症例検討などを重ねて理解を深めていくのがいいと思う。