プロローグ

 危ないに合うのが嫌なら、鍵をかけて部屋の中にいればいい。  裏切られるのが怖いなら、初めからだれも信用しなければいい。  反故にされたくないなら、約束をしなければいい。  そうすれば私は失望や悲しみを味わうことなく生きていける。    イヤホンから流れてくる聞き飽きた曲の一節にうんざりしながら紅茶をすする。  一人で過ごすには冬の夜は長すぎる。  ただ勉強をして、ご飯を食べて、お風呂に入って、また勉強をして。  繰り返しの日々に嫌気がさしたのを見透かしたかのように電話が鳴った。

 私はあえて不機嫌そうに聞こえるように電話に応えた。

「もしもし?」

updatedupdated2026-03-152026-03-15