あのバレンタインの後 僕らは、これまでで最高の日々を送った。
僕らは、ともに第一志望の高校に合格できた。本番が弱い僕にとって、第一志望に合格できて、本当にほっとした。合格発表の後、彼方に報告しに行くと
「これで安心したよ」
と言っていた。そのあとに、二人で久々の焼き肉をして楽しんだ。
無事に進学先も決まり、僕らは三年生送る会、通称三送会に向けて頑張った。三送会の練習自体は、前から始まっていた。でも、受検が残ってる間はどうしても身が入らなかった。これで、やっと本気で練習できた。三年生としての集大成を後輩に見せるためにも、全量を尽くした。
このころは、授業も終わっているので、先生も勉強よりもヘルスケアの方をに専念していた。新しい内容もないので、面白い授業をして、生徒を楽しませてくれた。まあ、受検が終わってる組からしたら、中学最後の晩餐みたいに思えた。
そして、人生最初で最後の送られる側の三送会を味わった。後輩たちが、僕たちのために劇やダンスをしてくれるのは、とてもうれしかったし、感慨深かった。僕には親しい後輩はいなかったけど、三送会の休憩時間に話しかけてくれる後輩がいてうれしかった。値もはもない噂話でも、聞かされるのは楽しかった。
そして、僕らからも後輩たちに歌を送り返した。僕自身は歌を歌うのは得意ではなかったけど、気持ちを伝えるために全力で歌った。歌っている最中に、壇上の僕らを見ている後輩たちの姿がめに入り、歌いながら泣いてしまった。今思えばすごい恥ずかしかったけど、とてもいい体験だったと思う。
とうとう僕らも、決められたレールが途切れる時が来た。中学校最後の日がやってきたんだ。卒業式は、在校生の時とは全く違う感触だった。在校生の時は先輩を送るだけの暇な時間だったけど、卒業生側煮立つと、感謝と悲しみであふれるものだった。卒業式始まってから、すぐに泣き始めて、最後の方には涙が枯れるほどに涙を流し続けた。
卒業式の後は、クラスの人で集まってお別れ会をやった。その時間はあまりにも一瞬で過ぎ去ってしまい、これがクラスのみんなと会える最後の瞬間と気が付けなかった。今では、もっと楽しんどけばよかったって思うけど、多分あの時は楽しすぎたんだろうなぁ。クラスの大半の人とは、そこで合うのが最後になってしまったから、もっと交流したかったって後悔してるけど、最高の思い出は僕の胸に、刃物の跡のように刻まれた。
そして、僕らは高校生になった。高校といえば、青春の夢に満ち溢れた空間だと空想していた。屋上に言ったり、図書室で夜遅くまで勉強したり、部活に打ち込んだり、楽しそうなことばかり夢見ていた。入学してから気が付いたのは、なかなか屋上には上がれないし、夜遅くまでなんて図書室で勉強する気にはなれなかった。部活には参加できないし、空想した高校生活とはかなり違った。それでもまあまあ楽しい高校生活を送っている。
今は高校に入学して、二カ月ぐらいが過ぎて、クラスの人との交流も増え、高校の制度がやっとわかってきた。上下関係の厳しさとか、高校独自の暗黙の了解みたいなのも理解できた。一日一日があまりにも楽しすぎて、一瞬で過ぎ去ることにさえ気が付かなかった。
こんな夢みたいな日々がずっと続くと思っていた。けど、人生はそんなに甘いものではなかったのだ。
なんでだろうなぁ。僕の人生はうまくいかないんだ。