エピローグ

「おはようございます」 「はい、おはよう」 元気に挨拶をする柳田君に軽く返事をして、今の時間を知る。一か月ぶりに仕事に復帰したせいで時間感覚がまだ慣れない。 ふと、いつもの癖のようにとあるホームページを開くと、新しい投稿がないかを確認してしまう。もちろん新しい投稿がないことを確認してから、最後の投稿にコメントをつける。 「世界一周旅行楽しかったよbyさとちゃん」 天国の翔にもきっと届くだろう。 ふとその上に別のコメントが付いているのが目に留まった。 「本

プロローグ

真っ白に仕切られた部屋の中 僕は一人問題集を開いてノートに文字を書きなぐる。 考えないようにしていても、頭の中で自己否定の渦が起こる 何のために勉強しているのか もっといい時間の使い方があるだろ どうせ医学部に受かったって 勉強が手につかないほどいらない思いが頭を埋め尽くしてしまったので、仕方なくパソコンを取り出してぶろぐをとうこうする。

プロローグ

僕は鳥が好きだった。 どこまでも空を自由に飛べて、美しいから。 けど、いつの間にか鳥が怖くなった。どこまでも僕を連れて行ってしまい、もう戻れなくなりそうだから。 ただ無意義に時が来るのを待つしかない僕は、そんなことを考えていた。

安定を求めて

食事を終え、片づけを二人に任せて僕はお風呂に向かった。端的な言葉には表せないほど様々なことがあったけど、僕の今後の方針も決まったし、ようやくひと段落した。あとは僕が黙ってさえいれば落ち着いた日々が遅れる。そう信じている。 お風呂に入るとようやく心を落ち着けることができた。椿姫か小百合さんがいるだけで失言してしまうのではと思って不安になるから、一人になれるタイミングだけが安心できる。 とはいえ、長い間お風呂に入っていると心臓にあまりいい影響はない

初めての受験

それから、僕達は本気で勉強した。そもそも僕はほとんど勉強してこなかったから、一年生の頃の教科書の記憶に、かなりの抜けがあった。終盤の追い込み勉強だと、努力している暁さんに教えてもらうことの方が多くなってきた。公立の勉強となると、私立のように難しい問題は出ないので、僕の性には合わなかった。逆に暁さんはそっちの方が得意らしく、ほぼ一日中教えてもらう日々が続いた。後から聞いた話、暁さんはこの頃の塾をほとんど休んでくれていたらしい。そのせいで、塾か