四話目

なんだか嫌な夢を見ていたような気がする。残暑のせいか、寝汗がひどいパジャマを脱ぎ捨てながら昨日の夢を思い出そうとしてみるも、うまく思い出せなかった。パソコンと向き合って寝るだけの日々を過ごしていた頃は夢を見ることがなかったから、かなり久しぶりに夢を見た。 時計を確認するとまだ時間はある。とりあえず美雪に連絡を入れて、今日に荷物を確認してから、台所に向かった。冷蔵庫を開けると、昨日買った麻婆豆腐がなくなっていて安心した。その隣にある冷蔵のパンを

久しぶりの買い物

朝は何度でもやってくる。 暁家に来てから、とにかく寝覚めが最高になったと思う。まず布団がいい。 とにかくいつも、ふかふかしていて、寝心地がとにかく。そして、枕もいい。 へなへなな枕ではなく、しっかりとしているんだ。暁家の寝具は、最高の睡眠と最高の寝覚めを提供してくれている。そのおかげで、前まで嫌いだった朝が、好きになれそうな勢いだった。 朝は、貧血かつ低血圧の影響で、フラフラになってしまうから、嫌だった。まず寝起きの瞬間に立ち眩みが起きるし、その後

幸福のバレンタイン

日が地平線の少し上くらいまで傾いた頃、僕はまだ暇を持て余していた。渡すべきチョコは既に用意できている。だから、渡す相手の暁さんの帰りを、ただひたすらに待ち望んでいた。すると、スマホに連絡が入った。 「そろそろ家に着きます」 と、暁さんから届いた。 チョコの渡すタイミングは、暁さんが、帰ってきたあと少し落ち着いてからがいいと思う。そうはわかっていても、とっとと渡してしまいたくて、うずうずしていた。チョコを渡すっていう動作がこんなにも恥ずかしいとは思

書店とカフェの非日常

いつものように駅に着いたけれど、まだ椿姫からの連絡はない。スマホで人と連絡するというのがいまだになれないので、連絡が来てないか各省が持てないから、常にスマホを注視している。 そういえば、入院してからは連絡はパソコンでしていたから、スマホを使うのは音楽を流したり動画を見たり、タイマーとして使うぐらいのことしかなかった。今にして思えば、そのどれもスマホである必要はなかったんだけど。 時計を見ると、そろそろ椿姫の授業が終わってもおかしくない時間帯にな

小康を求めて

長い 長い夢を見ているようだった。 いや、何が夢なのかわからなかったけれど、ただこの瞬間が幸福なのだということだけはわかっていた。 気が付いたら壮大なネモフィラの花畑の上に立っていた。見渡す限りただ広く、地球よりも宇宙よりも広い青い草原、そこに洋風の風車がたっていた。 仏教でいえば極楽というのはまさにこういうところなんだろう。きっとこれまでの現実はある種の夢の一つだったのかもしれない、そう感じてしまうほどに、暖かく僕を受け入れてくれる草原だった。 少