日が地平線の少し上くらいまで傾いた頃、僕はまだ暇を持て余していた。渡すべきチョコは既に用意できている。だから、渡す相手の暁さんの帰りを、ただひたすらに待ち望んでいた。すると、スマホに連絡が入った。 「そろそろ家に着きます」 と、暁さんから届いた。 チョコの渡すタイミングは、暁さんが、帰ってきたあと少し落ち着いてからがいいと思う。そうはわかっていても、とっとと渡してしまいたくて、うずうずしていた。チョコを渡すっていう動作がこんなにも恥ずかしいとは思いつものように駅に着いたけれど、まだ椿姫からの連絡はない。スマホで人と連絡するというのがいまだになれないので、連絡が来てないか各省が持てないから、常にスマホを注視している。 そういえば、入院してからは連絡はパソコンでしていたから、スマホを使うのは音楽を流したり動画を見たり、タイマーとして使うぐらいのことしかなかった。今にして思えば、そのどれもスマホである必要はなかったんだけど。 時計を見ると、そろそろ椿姫の授業が終わってもおかしくない時間帯にな長い 長い夢を見ているようだった。 いや、何が夢なのかわからなかったけれど、ただこの瞬間が幸福なのだということだけはわかっていた。 気が付いたら壮大なネモフィラの花畑の上に立っていた。見渡す限りただ広く、地球よりも宇宙よりも広い青い草原、そこに洋風の風車がたっていた。 仏教でいえば極楽というのはまさにこういうところなんだろう。きっとこれまでの現実はある種の夢の一つだったのかもしれない、そう感じてしまうほどに、暖かく僕を受け入れてくれる草原だった。 少今何時なんだろうか ふと気になって腕につけていた時計を見ると、もう新しい日を迎えようとしていた。それまで、ずっと彼方の手を握っていたのか。 なかなか長い時間だった。まあ、たまにお茶を飲んだり、軽食を取ったりはしていたけど。それでも、一人のことをこれ程長い時間の間考え続けるというのは、容易いことではない。 僕はもう一度彼方の手を強く握る。もう一度だけでも、話をしたいと願いながら。一言伝えたいこと、相談したいことがあるんだ。 その時、わずかに感じたぬくいつ追い出されてもいいようになるべく必要な荷物だけを取り出し、まだ使わないものは段ボールに残しておいた。一通りの準備が終わると部屋の中を見渡してみる。何度見ても違和感がぬぐえない部屋だった。 荷物の中から取り出したパソコンを机にセットする。コードをつなぎディスプレイのとキーボード、マウスの位置を整えいつでも使えるようにする。動作確認もかねて少しだけブログを書いておくことにする。 この二日間でいろんなことが起きすぎて、自分の頭の中でまとめきれない